<携帯電話>
数年前まで携帯電話の着信音はみな同じだった。
電話も分厚くて重かった。
私は必要に迫られて携帯を買った。
今では思いもよらないほど高値の頃の話・・・。
その日、電車に乗っていた。
私は座っていた。
突然、けたたましい着信音がどこからか響いてきた。
私は自分のバッグを開けて電話を探した。
目の前のつり革につかまっていた紳士は網棚からカバンを下ろして
開けて探す。
その向こうにいた人はスーツの内ポケットや上着のポケット、ズボンの
ポケットをまさぐる。
「もしもし、あぁ、オレ・・・」
なぁんだ!連結部にいた学生の携帯電話だった。
私たち3人はバツの悪そうな顔でニッと笑って顔を見合わせた。
周りも苦笑した。
♪ミテルダケ~~~♪へ
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